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片麻痺者の肩関節亜脱臼

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リハビリテーション
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こんにちは。physical太郎です。

今回は、脳血管障害による片麻痺者によくみる、二次障害の代表である肩関節亜脱臼について考えていきます。

 

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肩関節亜脱臼と疼痛について

片麻痺者の二次障害として、肩関節亜脱臼があります。

肩関節を構成する上腕骨、肩甲骨、鎖骨のうち、上腕骨が下がって、肩峰から上腕骨頭が離れた状態です。

約5割の片麻痺者が肩関節亜脱臼を抱えているといわれています。

肩関節亜脱臼は拘縮や疼痛が起こりやすく、リハビリテーションや日常生活、生活の質に大きく影響します。

 

 

肩関節亜脱臼の評価

触診

麻痺側肩関節の肩峰と上腕骨頭の間にセラピストの示指を当て、1横指が納まると亜脱臼と判断します。

X線

X線を使用して肩峰骨頭間距離(AHI:Acromio Humeral Interval)を測定します。

X線に写った上腕骨頭の上端とそれに対応する肩峰下面の距離を計測します。

13mmを超えるものを亜脱臼と判断します。

 

 

なぜ肩関節が亜脱臼するのかを考える

棘上筋の機能

肩関節は多軸性の球関節で、骨頭は大きいのに関節窩は小さく、よく動く反面、とても不安定な構造をしています。この肩関節を支えるのは関節唇や靭帯、そしてさまざまな筋や腱です、その中でも、上腕骨頭を引き上げる作用をもつ棘上筋の機能障害は亜脱臼に最も影響があるといわれています。

棘上筋は三角筋中部繊維とを共に肩関節外転の主動作筋ですが、上腕骨を上方へ持ち上げる作用があります。
つまり、上腕骨を上方へ持ち上げる作用のある棘上筋の筋緊張低下は、肩関節亜脱臼を引き起こす可能性が高いのです。

ちなみに、棘上筋ほかに上腕骨を上方に持ち上げる作用のある筋に三角筋や上腕二頭筋長頭がありますが、研究にて棘上筋が最も活発になるといわれています。

上肢の弛緩性麻痺が継続する症例は、肩関節に上肢の重みによる牽引力が生じ続けることで、上腕骨を支えている関節包や靭帯が伸長されてしまいます

亜脱臼の経過とリハビリテーション

肩関節亜脱臼の経過は、発症後6ヶ月以内で、麻痺が軽度の患者であれば約4割が改善するとされています。一方で、亜脱臼が悪化した症例が約2割いるそうです。

つまり、片麻痺の亜脱臼は、早期であれば改善する可能性が高いことがわかります。

そのためにリハビリテーションでは、亜脱臼患者に早期からポジショニングの指導を行ったり、車椅子ではアームサポートを使うようにしたり、三角筋や装具(スリングなど)を使用したりしていることが多いと思います。
これらには、上肢の重さを支える肩関節の働きを支える肩関節の働きを補って、亜脱臼の状態を防ぐ目的があります。

しかし三角筋や装具の効果についてはさまざまな報告があり、場合によっては状態が悪化することもあるそうです。

他に臨床でよく利用されるのが機械的電気刺激(FES:Functional Electrical Stimulation)があります。
これの効果も賛否両論あり、一時的な効果にとどまる報告や、深部の棘上筋には電気刺激が十分に届いているか疑問視する報告があります。

いずれにしても装具療法や電気刺激は対処の1つであり、十分な効果が得られるわけではありません。

そのため、装具療法や電気刺激を併用して、筋機能を改善するための運動療法を行う必要があります。

 

脳血管障害の片麻痺は部分的に起こることは少なく、全身に何らかの影響が及ぶことが多い障害です。そのため、棘上筋の機能に加えて、肩関節以外の全身の身体機能、姿勢を総合して肩関節亜脱臼を考える必要があります。

物理的な理由で亜脱臼する

肩甲骨の関節窩は、上腕骨の受け皿になるために骨性の支持の役割があります。健常者の肩甲骨であれば、関節窩や下方関節唇が下方に位置し、上腕骨頭を支える力が部分的に作用します。

一方、片麻痺者の肩甲骨は下方回旋していることが多く、物理的な支持がなくなることを意味し、亜脱臼の原因の1つになります。

棘上筋が作用する向きが変化して亜脱臼する

肩甲骨が下方回旋すると、棘上筋が上腕骨に作用する力の向きが変わってしまいます。

健常者では、肩甲骨の位置が正常であるため棘上筋の菌収縮が起こると、①上腕骨頭が関節窩へ向かって圧迫する力(求心力)と、②上方へ引き上げる力の2つの作用があらわれます。

しかし、肩甲骨が下方回旋していることが多い片麻痺者は、上腕骨頭が関節窩へ向かって圧迫する力(求心力)が減少して、テコの作用が発揮できず亜脱臼につながりやすいと考えられます。
また、長期にわたって肩甲骨が下方回旋位のままで寝て過ごしている亜脱臼患者は、寝ている間以外の全ての時間で棘上筋が牽引されているとも考えられ、持続的ストレッチを受けている状態となります。長期的な牽引により棘上筋の筋緊張が低下し、亜脱臼を助長している可能性があります。

 

 

亜脱臼患者の姿勢

円背

片麻痺者の座位姿勢は、円背になっていることが多いです。

この原因としては、

  • 腸骨筋や大殿筋の筋緊張が低下して、股関節屈曲角度が小さくなる
  • 多裂筋た大腰筋の筋緊張が低下して腰椎が後弯し、骨盤が後傾すること

が挙げられます。

片麻痺者は、骨盤が後傾すると、後方へ倒れないように無意識に腹直筋などの筋緊張を亢進させたり低下させたりして、胸腰椎移行部や胸椎下部の屈曲を強めることでバランスを取ろうとします。円背になると体幹の伸展は難しくなり、僧帽筋下部繊維の筋収縮は起こりにくくなります。

さらに、円背患者の姿勢は、胸椎部が前方へ傾斜しています。それにより上肢の重みで肩甲骨は外転位になりやすく、僧帽筋中部繊維の活動も起こりにくくなります。

ここで、骨盤後傾で後方へ変位した体幹が後ろに倒れないように、腹直筋などの筋緊張を無意識に収縮させるのと同時に、小胸筋の筋活動が活発となり、肩甲骨と鎖骨の位置を前方へ変位させています。

小胸筋は肩甲骨を外転や下方回旋、下制させるほか、二次的に鎖骨の前突や下制を引き起こします。つまり、円背姿勢で小胸筋の筋緊張が亢進すると、肩関節亜脱臼を助長する方向に作用してしまいます。

体幹が側屈

麻痺側に体幹が側屈すると肩甲骨下方回旋の姿勢となり、関節窩が下方に向いて、亜脱臼を助長してしまいます。

体幹が側屈してしまう原因は以下が挙げられます。

  • 麻痺側の最長筋の筋緊張低下
  • 麻痺側の腹直筋や広背筋、腸肋筋、外腹斜筋縦走繊維、腰方形筋の筋緊張亢進
  • 非麻痺側の股関節外転筋や中殿筋、大腿筋膜張筋の伸張性低下
  • 麻痺側の股関節外転筋の筋緊張低下
  • 麻痺側殿部の感覚障害などが原因で、非麻痺側の股関節が外転すると骨盤の非麻痺側への傾斜が起こり、荷重が非麻痺側へ変位し、それを代償している

 

 

運動療法の考え方とポイント

基本的には、棘上筋僧帽筋上部繊維前鋸筋の筋緊張促通により、静止時の肩甲骨の適正な位置への改善が期待でき、それが亜脱臼の改善・防止につながります。

ゼロポジションでの上肢保持

座位で上肢を下垂した状態だと肩関節は亜脱臼の位置になるため、運動療法を実施しているときは、肩関節が最も安定した位置といわれるゼロポジションで上肢を保持して目的とする筋活動を引き出します。

ゼロポジション
上腕骨と肩甲棘のラインが一致する肢位で、関節包の緊張が均一となり、関節面に上腕骨頭が適合している肢位です。

ここで引き出すのは、肩回旋筋腱板や三角筋の収縮です。この筋の収縮が起こると上肢の保持が容易になり、静止時に適度な筋緊張を得られ、動作時の上腕骨頭の安定性も強化できます。

セラピストのハンドリング

肩甲骨面挙上90°以上の高い位置を保持するには、肩関節を安定させる肩回旋筋腱板や三角筋の働きだけではなく、肩甲帯を安定させる僧帽筋上部繊維や前鋸筋の活動も必要となります。

しかし、僧帽筋上部繊維の筋緊張が低下していることで、肩甲帯下制位になりやすい方もいます。そのような時、セラピストが抹消部位の操作を行うと、肩甲帯下制位を回避しやすくなります。

患者は上肢挙上の主動作筋の筋緊張が低下しているため、上肢を空中で保持するには努力が必要となります。そこでセラピストは動きを遂行しやすいように、患者の手を上から把持してハンドリングを行います。
そうすることで、体性感覚が入力され、その感覚部位を手がかりとして支持に活用し、動作を遂行しようとします。
つまり、感覚入力する部位に頼ろうとするのです。

前上方へのリーチによる前鋸筋の促通

肩甲骨の上方回旋は、前鋸筋や僧帽筋の上部・下部繊維が主動作筋になりますが、前鋸筋、特に下部繊維は上方回旋に強く関与します。

ポイントは、肩甲骨下角部分を外側に移動させるように誘導することです。

 

 

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