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上肢の病的共同運動パターンについて考える③

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リハビリテーション
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こんにちは。physical太郎です。

今回も、上肢の病的共同運動パターンについて考えます。

 

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上肢の病的共同運動パターン

共同運動パターンといえば、脳卒中片麻痺者の症例で多く見かけるかと思います。

上肢では、肩関節屈曲の運動で肘関節屈曲が生じるような現象ですね。

これがきっかけで、肩関節屈曲運動などで肘関節屈曲運動などの代償運動が起こり、目的とする動作の獲得ができない、なんて場面を多く見かけます。

しかし、これを一様に共同運動パターンとまとめてしまっては、より効果的な運動療法はできないのではないでしょうか。

単に神経の上位運動ニューロン障害として考えるだけでなく、運動学的な視点で解釈することで、目的とする運動の獲得に近づくと思われます。

今回の記事では、なぜ肩関節屈曲で肘関節が屈曲するのかを考えてみます。

 

 

肩甲上腕関節の運動学的特性と力学的安定のメカニズム

肩甲上腕関節は、とても大きな可動性を持っています。

その反面、関節包や靭帯といった静的な支持性や、筋活動などの動的な支持性がなければ上腕骨頭が肩甲骨関節窩から逸脱してしまいます。

上腕骨頭が肩甲骨関節窩から逸脱せず、求心位を維持している状態を、いわゆる「関節が安定する」といいます

 

三角筋前部繊維が肩甲上腕関節の運動によって上腕骨を上方へ引き上げますが、そこから肩甲上腕関節に動きが生じると、上肢は空間上を傾斜することになり、単に三角筋粗面を上方へ牽引するだけでは肩甲上腕関節は安定しません
つまり、上腕骨の三角筋粗面を基準と考えて、①三角筋粗面〜上腕骨頭、②三角筋粗面〜手指末梢の長さを比較した場合、遠位側の長い方が重力方向へ回転しようとするため、上肢の空間保持が困難となります。

その際に重要なのが回旋筋腱板です。

肩甲上腕関節の屈曲時に、

三角筋が上腕骨頭を上方へ引き上げ、棘上筋が肩甲骨関節窩に押し付けることで、上腕骨頭の上方偏位を防ぐことにより、肩甲骨関節窩の中で安定します。

また肩関節屈曲90°以上では、三角筋が上腕骨頭を情報へ引き上げるのに対し、棘下筋が上腕骨頭の下方引き下げを行うことにより、上腕骨頭が肩甲骨関節窩の中で安定します。

 

 

肩甲上腕関節を力学的に安定させる筋群

棘上筋と棘下筋の活動交代

棘上筋は、肩関節屈曲30°と60°では筋活動が増加し、90°や120°では筋活動が減少するといわれています。

棘下筋は、肩関節屈曲の角度が大きくなるとともに筋活動が増加するといわれています。

つまり、
肩関節屈曲90°までは棘上筋が上腕骨頭を肩甲骨関節窩に対して求心位に維持させるという力学的安定性をもたらします。
さらに90°以降は、棘上筋が短縮位となり、筋活動が減少するため、棘下筋が尾側方向へ筋繊維が走行しているため、肩関節90°以降、引き続き求心位び維持させる働きがあると考えられます。

三角筋による肩甲上腕関節の安定

「三角筋の前部・中部・後部繊維は、上腕骨頭の肩甲骨関節窩への求心位に関わる」という報告があります。

確かに他の研究でも、三角筋前部繊維は屈曲角度の増加に伴い漸増的に作用し、中部・後部繊維が屈曲120°以上にて筋活動が増加すると報告されています。

しかし、三角筋は上肢全長近位1/4付近に停止するため、上腕骨頭を上方へ牽引させるために要する力量は、肩関節屈曲90°が最大となるはずです。(てこの原理を考えた時、肩甲上腕関節が支点、三角筋粗面が力点となるが、支点と力点の距離が最大となるのは、肩関節屈曲90°位。)

 

 

片麻痺者の肩関節屈曲運動で肘関節屈曲が起こる理由

片麻痺者では、棘上筋や棘下筋に機能不全が生じることが多く報告されています。これらの機能不全があると、肩甲骨関節窩と上腕骨頭の求心位を維持できなくなり、肩甲上腕関節は不安定となります。このような求心位を維持できない状態であっても、肩関節屈曲運動を行おうとするには、何らかの代償手段を用いる必要があるわけです。

肩甲上腕関節を静的に安定させるものとして、関節包や関節上腕靭帯、関節唇などが存在しますが、これらは随意的に機能させることができません。つまり、運動療法で強化することはできないのです。

一方、肩甲上腕関節を動的な場面で安定させるには、棘上筋や棘下筋が主に作用しますが、上腕二頭筋長頭腱も肩甲上腕関節を安定させる筋の1つなのです。

片麻痺者の肩関節屈曲位時に肘関節屈曲を伴う症例では、上腕二頭筋の筋緊張亢進が認められているという報告が多いです。

上腕二頭筋が活動すると、上腕二頭筋長頭腱が結節間溝を押し付け、上腕骨頭の上方偏位を妨げ、肩甲骨関節窩と上腕骨頭の求心位の維持が可能となります

この代償的な活動の結果、上腕骨頭を肩甲骨関節窩に求心位に維持させることができますが、同時に肩関節屈曲時に肘関節屈曲も起こるのです。

つまり、肩関節屈曲時に肘関節屈曲が認められる原因は、上腕骨頭の下方引き下げ肩関節屈曲を上腕二頭筋によって代償していた結果、ということです。

 

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運動療法の考え方

重要なことは、上腕骨頭が上方変位してしまう原因を解明することです。
①棘上筋や棘下筋、三角筋などが正常に機能するか
②過剰な収縮や短縮によりそれらが阻害されていないか
③棘上筋と棘下筋が機能していてもそれらが円滑に活動交代できているか
④三角筋の全ての繊維が協調的に機能しているか

肩関節水平内転における棘上筋と棘下筋の活動の関係

肩関節水平内転120°よりも150°の方が、三角筋前部繊維に加えて大胸筋鎖骨部繊維の筋活動も参加すると報告されています。

棘上筋は肩関節水平内転120°以降で筋活動が減少することも報告されています。
これは、肩甲骨関節窩の向きと上腕骨の長軸の向きとの位置関係を考えると理解できます。なぜなら、肩甲骨関節窩が上腕骨頭の受け皿として位置しやすいポジションの時は、三角筋と棘上筋の双方の活動により肩甲上腕関節を安定させていると考えられるためです。

一方、棘下筋は肩関節水平内転が120°以降になると筋活動の増加を認めると報告されています。
これは、肩関節の水平内転の角度が増大すると、肩甲骨関節窩が上腕骨頭の受け皿として位置しにくいポジションとなり、三角筋と棘上筋によって肩甲上腕関節を安定させにくくなるためです。
さらに、上腕骨を引き上げる筋として大胸筋鎖骨部繊維も作用するため、上腕骨頭を引き上げる力がさらに強まります。
その結果、上腕骨頭の引き下げ作用のある棘下筋の筋活動が高まると考えられます。

棘上筋・棘下筋に対する運動療法

棘上筋の運動療法

患者を背臥位とし、セラピストが肩甲骨を固定した上で肩関節の軽い外転運動を反復することで活動を促すことができます。

棘下筋の運動療法

患者を背臥位として、セラピストが肩甲骨を固定した上で、肩関節の外旋運動を反復することで活動を促すことができます。

棘上筋と棘下筋の活動交代

座位にて、肩関節の水平内転運動を繰り返し練習する。

この運動療法では、上腕骨頭の引き下げ作用が棘上筋から棘下筋へと円滑に移行されなければ肩甲上腕関節は安定しません
さらに、三角筋前部繊維や大胸筋鎖骨部繊維の活動によって、上腕骨頭は肩甲骨関節窩に対して上方へ変位してしまう可能性もあります。

すなわち、上腕骨頭が上方へ変位すると、上腕骨の遠位部は下方に位置することとなり、前額面から見ると、上腕骨が傾斜していることを確認できます。上腕骨が傾斜している時、棘上筋棘下筋での円滑な活動交代が実施できていない可能性があるため、上肢が床に対して常に水平であることを確認する必要があります。

 

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@physical_taro

 

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