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上肢の病的共同運動パターンについて考える①

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リハビリテーション
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こんにちは。physical太郎です。

今回は、上肢の病的共同運動パターンについて考えます。

 

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上肢の病的共同運動パターン

共同運動パターンといえば、脳卒中片麻痺者の症例で多く見かけるかと思います。

上肢では、肩関節屈曲の運動で内転・内旋が生じるような現象ですね。

これがきっかけで、肩関節屈曲運動などで大胸筋の緊張が高まり、目的とする動作の獲得ができない、なんて場面を多く見かけます。

しかし、これを一様に共同運動パターンとまとめてしまっては、より効果的な運動療法はできないのではないでしょうか。

単に神経の上位運動ニューロン障害として考えるだけでなく、運動学的な視点で解釈することで、目的とする運動の獲得に近づくと思われます。

今回の記事では、なぜ肩関節屈曲運動で大胸筋の緊張が高まりやすいのかを考えてみます。

 

 

大胸筋の筋活動の特性

大胸筋とは、
起始
:鎖骨部→鎖骨の内側半分
:胸肋部→胸骨と第2〜6肋軟骨
:腹部→腹直筋鞘の前葉
停止:上腕骨大結節稜(前面)
作用:上腕の内転・内旋、前方挙上、吸息
神経支配:内側・外側胸筋神経(C5~Th1)

 

ここで、肩関節水平屈曲位を保持する際の大胸筋の筋活動について考えると、
鎖骨部繊維は肩関節水平屈曲0〜50°位では上肢下垂位とほぼ同程度の活動であり、水平屈曲70°以上位では筋活動が増加します

また、一般的に上肢下垂位の肩甲骨面は、全額面に対して約30°傾斜しているといわれています。
さらに、肩関節屈曲90°位を保持した場合には、全額面に対する肩甲骨面の角度は上肢下垂位の時よりも増え、全額面に対して60.9°傾斜するといわれています。

このことから、肩関節水平屈曲60°位が肩甲骨面と上腕骨長軸が一致する角度と考えられます。

ということは、肩関節水平屈曲0〜50°では、肩甲骨面と上腕骨長軸の位置関係は、相対的に水平伸展位になります。また、肩関節水平屈曲70〜90°では、肩甲骨面と上腕骨長軸の位置関係は、相対的に水平屈曲位となります

つまり、大胸筋鎖骨部繊維の筋活動の特性は、肩甲骨面と上腕骨の位置関係が相対的に水平屈曲位になる際に、上腕骨と鎖骨を求心位に引きつけるよう作用していると考えられます。
加えていうと、肩骨面と上腕骨の位置関係が相対的に水平伸展位となる肢位では、大胸筋鎖骨部繊維の筋活動はあまり生じない特性があります。

 

 

片麻痺者の大胸筋は筋緊張亢進しやすい

大胸筋鎖骨部繊維は、肩関節屈曲0〜115°位にかけて徐々に筋活動が増加し、その後減少します
大胸筋胸肋部繊維は肩関節屈曲0〜140°位なでの範囲でわずかに活動しています。
大胸筋腹部繊維はすべての肩関節屈曲位保持角度で肢位保持への関与は少ないとされています。

一般的に、肩関節屈曲時に必要な肩甲骨機能として、肩甲上腕リズムが広く知られています。
健常者では、肩関節屈曲90°までの肩甲骨運動は、肩鎖関節を軸として肩甲骨が外転・上方回旋します。
また、前方リーチ課題において、肘関節を屈曲位から伸展しつつ、肩関節を屈曲し屈曲90°位を保持するには、前鋸筋下部繊維の筋活動が増加し、肩甲骨がより大きく外転・上方回旋すると言われています。

ここで、脳卒中片麻痺者の麻痺側肩関節屈曲が困難な症例では、前鋸筋の筋緊張が低下していることが多く、肩甲骨の外転・上方回旋が乏しい症例が見受けられます。
さらに二次的な問題として、拮抗筋である菱形筋群の筋緊張亢進や伸張性低下が生じやすく、麻痺側肩甲骨は内転・挙上位を呈するようになることが多いです。

肩関節屈曲運動には、①胸腰部の伸展や②胸腰部の非挙上側への側屈が必要となります。

脳卒中片麻痺者の座位姿勢では、特に麻痺側の股関節屈曲が不十分であり、骨盤は麻痺側が優位に後傾・回旋位となり、さらに胸腰部は屈曲・非麻痺側屈曲位を呈することも多いです。
このような姿勢では、肩関節や肩甲骨の運動に伴う適正な体幹運動は生じにくく、麻痺側の肩甲骨は前傾・外転・情報回旋すると共に、前鋸筋は短縮位・低緊張を認めやすくなります。

 

まとめると、

前述したように、肩関節屈曲90°までの運動時には、肩鎖関節を軸とした肩甲骨の外転・上方回旋が必要です。

しかし前鋸筋の筋緊張低下を認める場合には、肩甲骨の外転・上方回旋が不十分となります

そのため、肩甲上腕関節が運動を代償し、主動作筋である三角筋前部繊維と、肩関節屈曲作用のある大胸筋鎖骨部繊維の筋活動が増加します

この活動は、運動過程の早期から生じる代償的な筋活動と考えられるため、これに伴い、肩関節屈曲時には内転・内旋を認める可能性があります。

また、肩甲骨が内転・挙上位になる時には、肩甲骨関節窩は外側を向き、全額面に対する肩甲骨面の傾斜角は減少します。

そのため、肩甲上腕関節では屈曲と共に水平屈曲方向の運動が必要となり、運動過程の早期から肩甲骨面と上腕骨長軸の位置関係が相対的に水平屈曲位になることで、大胸筋鎖骨部繊維の収縮が活発になると考えられます。

 

 

運動療法の考え方

前鋸筋の機能評価と筋緊張の促通

前鋸筋の機能評価

上肢の前方挙上動作では、肩関節屈曲の初期に、肩甲上腕関節は屈曲、肩甲骨は外転・上方回旋します。また、肩甲骨が外転・上方回旋していることで、正常に前鋸筋が活動していると評価できます。

前鋸筋は、肩甲骨下角の高さで、腋窩部と体幹の側壁で触診できます。この時、前鋸筋の腹側には大胸筋、背側には広背筋が位置することに注意が必要です。

前鋸筋の筋緊張促通

まずは、肩甲骨の外転・上方回旋が生じる範囲内で肩関節屈曲運動を繰り返します。そして徐々に肩関節の屈曲範囲を広げていきます。

僧帽筋上部繊維の筋活動による肩甲骨挙上の代償運動が生じないようにする。
肩甲骨の外転・上方回旋運動の誘導を行いながら前鋸筋の筋活動を触診すること。

 

次に、上肢の前方へのリーチ動作を行うことで、前鋸筋の筋緊張をより促通することができます。

患者に「机の上のものを取る」ことを想定した動作を行なってもらうこと。そうすることで、日常生活場面を想定した実践的な練習ができます。

 

菱形筋の機能評価

菱形筋は、脊柱と肩甲骨内側縁の間にあります。
目安として、第6頚椎棘突起と肩甲棘内側端を結んだ線と、第4胸椎棘突起と肩甲骨下角を結んだ線に囲まれた領域に位置しています。
僧帽筋の深層に、大菱形筋と小菱形筋をそれぞれ触知でいます。

基本的に、菱形筋群の作用と反対方向の運動を多動的に誘導することで、筋の伸張性を改善できます。肩甲骨を外転方向へ誘導する、ということですね。
肩甲骨の内転・挙上・下方回旋作用があるわけですから、肩甲骨の外転に加え、下制、上方回旋を誘導することで、最も伸長されます

 

 

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